平成22年度 事業報告
1)疫学調査支援事業
鎮痛薬による消化管粘膜傷害に対する医師の意識調査:整形外科医等のNSAID処方医の消化管粘膜傷害リスクに関する意識調査を行った結果、NSAIDの出血等の副作用に対する意識が低いことが判明した。本調査結果については、以下のジャーナルに論文化され、日常診療におけるNSAIDの消化管傷害に対する安全性対策の一つとして情報活用する。
Association between
adherence to evidence-based guideline for the prescription of nonsteroidal
anti-inflammatory drugs and the incidence of gastric mucosal lesions in
Japanese patients. Hidetaka Tsumura, Tsuyoshi Fujita, Isamu Tamura, Yoshinori
Morita, Masaru Yoshida, Takashi Toyonaga, Hidekazu Murai, Hideto Inokuchi,
Hiromu Kutsumi, Takeshi Azuma, Jounal of Gstroenterology
20010,Sep.45(9):944-951 Epub 2010 May 25.
A低用量アスピリンによる消化管粘膜傷害の実態調査:三木市民病院および神戸大学病院の消化器内科を受診した低用量アスピリン使用による上部消化管病変の疫学調査を実施し、その解析を行った。その結果、低用量アスピリン服薬患者の1.8%が消化管出血を引き起こしていることが判明した。本調査結果については以下のジャーナルに論文化された。日常臨床での先生がたに情報提供していく。
Low-dose
aspirin-induced gastroduodenal mucosal injury in Japanese patients with
arteriosclerotic disease. Isamu Tamura, Tsuyoshi Fujita, Hidetaka Tsumura,
Yoshinori Morita, Masaru Yoshida, Takeshi Toyonaga, Seiichi Hirano, Hideto
Inokuchi, Hiromu Kutsumi, Takeshi Azuma, Intern Med. 2010, 49(23): 2537-45.
Epub 2010 Dec 1.
B逆流性食道炎並びに症候性GERDに関する疫学調査を開始した。特に日本人のメタボロームと食道疾患との関連についてはまだまだ不明な点が多く、その関連性について大規模疫学調査を行う。
2)臨床研究支援事業
@平成20年8月から開始した「低用量アスピリン投与による上部消化管粘膜傷害の発生に対するプロトンポンプ阻害薬の予防効果(医師主導臨床試験)」を280例の登録症例を確保し、平成22年12月に試験を終了した。平成23年度には学会発表と論文化を予定している。
A消化管内視鏡治療、第14回神戸消化器内視鏡治療研究会 ハンズオンセミナー:
ESD技術の普及と研修を目的とし、全国規模のハンズオンセミナーが平成22年7月3日(土)に神戸医療機器開発センター「MEDDEC」で開催され後援した。本セミナーでは、ブタを使用した大腸の生体位内視鏡的粘膜剥離術を習得して頂くことを目的としており、北海道から鹿児島までの全国の内視鏡臨床医41名の参加を得て熱気あふれるセミナーであった。今後、ESD技術が全国に普及し、特に早期胃癌における治療法の一つの選択肢として定着することが期待される。
B消化管内視鏡治療、ハンズオンセミナー:関西地区ハンズオンセミナーが神戸近郊の内視鏡臨床医12名の参加を得て、平成22年7月11日(土)に神戸医療機器開発センター「MEDDEC」で開催され、後援した。マンツーマン指導の下、若手の先生方が熱心に技術習得に取り組まれ、関西地区でESD技術がますます広く普及することが期待される。
3)研究開発事業
@食道・胃・十二指腸傷害の症状によるQOLとの尺度開発:神戸大学病院の消化器内科を受診した200名の患者にアンケート調査を実施しており、今後も継続しニーズにあった尺度開発を企画する。本事業はNPO法人iHOPEとの共同研究事業である。
A消化管内視鏡治療専門医の育成を図ることを目的として、内視鏡技術トレーニングの研修企画を開始した。
B内視鏡治療技術研修支援:平成23年度から設立される神戸国際消化器内視鏡教育センターの支援を行った。
4)情報提供事業
@GI-CAREホームページを更新し、活動情報を提供した。
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