平成23年度 事業報告
疫学調査支援事業
@逆流性食道炎並びに症候性GERDに関する疫学調査を開始した。特に日本人のメタボロームと食道疾患との関連についてはまだまだ不明な点が多く、その関連性について大規模疫学調査を行う。詳細な調査企画を作成中であるがCARE研究の再解析により、低用量アスピリン長期投与によってGERD発症が惹起されることが判明した。
A淀川キリスト教病院の大規模検診(800人)による逆流性食道炎の疫学調査が実施され、現在投稿の準備を進めている。本調査に関する論文化について、平成24年度に疫学調査支援を行う予定である。
臨床研究支援事業
@平成20年8月から開始した「低用量アスピリン投与による上部消化管粘膜傷害の発生に対するプロトンポンプ阻害薬の予防効果(医師主導臨床試験)」を280例の登録症例を確保し、平成22年12月に試験を終了した。平成23年10月20日、日本消化器病学会週間で藤田剛特任教授がパネルディスカッションで口頭発表、10月26日欧州消化器病学会週間(ストックホルム)で口頭発表した。
J.Gastroenterology雑誌への掲載が受領された。
A消化管内視鏡治療、第15回神戸消化器内視鏡治療研究会 ハンズオンセミナーESD技術の普及と研修を目的とし、全国規模のハンズオンセミナーが平成23年6月3日(土)に神戸医療機器開発センター「MEDDEC」で開催され後援した。
本セミナーでは、ブタを使用した大腸の生体位内視鏡的粘膜剥離術を習得して頂くことを目的としており、北海道から鹿児島までの全国の内視鏡臨床医の参加を得て熱気あふれるセミナーであった。今後、ESD技術が全国に普及し、特に早期胃癌における治療法の一つの選択肢として定着することが期待される。
B消化管内視鏡治療、ハンズオンセミナー:近畿内視鏡治療研究会特別企画としてESDハンズオンセミナーが神戸近郊の内視鏡臨床医の参加を得て、平成23年11月12日(土)に神戸医療機器開発センター「MEDDEC」で開催され、後援した。
マンツーマン指導の下、若手の先生方が熱心に技術習得に取り組まれ、関西地区でESD技術がますます広く普及することが期待される。また、本セミナーにより、消化器内視鏡治療専門医の育成を図ることも企図し、内視鏡技術トレーニング研修も行った。
研究開発事業
@食道・胃・十二指腸傷害の症状によるQOLとの尺度開発:神戸大学病院の消化器内科を受診した200名の患者にアンケート調査を実施しており、今後も継続しニーズにあった尺度開発を企画する。
本事業はNPO法人iHOPEとの共同研究事業であるが、本年度をもって終了した。
A内視鏡治療技術研修支援:平成23年度から設立される神戸国際消化器内視鏡教育センターの支援を行った。本研修の一環として、メディカルフェスティバルが平成23年2月にフィリピンで開催された。
B若手消化器内科医の内視鏡技術習得と育成のために、GIサポートへの支援を行った。
情報提供・教育事業
平成23年度計画した「胃がんおよび大腸がんと上手におつきあい」をテーマとして市民公開講座を3月11日(日)に413名の参加者を得て開催した。東日本大震災1年目の日であり黙祷をささげた後、理事長挨拶と2演題の講演を行った。
「大腸がんの治療最前線」について神戸大学医学部消化器内科特定助教の石田司先生、「胃がんは予防・治療が可能ながんです」について神戸大学医学部消化器内科教授の東健先生からそれぞれ判りやすい講演を頂き、参加者からは高い評価を頂いた。
本公開講座は、当NPO法人が主催し、兵庫県、神戸市、神戸市医師会、ひょうごボランタリーによる後援のもと、神戸市を中心とした多くの地域市民の方の参加により盛会裏に終了した。
なお、開催時に実施したヘリコバクター・ピロリ菌の尿中抗体検査の無料実施は好評を得、 105名の参加者に実施された。平均年齢は68.7歳で高齢者が多く、その結果感染者は44.8%であった。また、アンケートによる胃がん及び大腸がん検診率の調査では、それぞれ77%、66%と比較的高かった。
今後も消化器がんのがん検診普及と早期がんの発見に努め、消化器がんによる死亡の軽減に当法人も貢献していく必要がある。
情報提供事業
GI-CAREホームページを更新し、活動情報を提供した。
市民公開講座の詳細とアンケート結果についても掲載を行った。
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