平成24年度 事業報告
疫学研究支援事業
@ 逆流性食道炎並びに症候性GERDに関する疫学調査を開始した。特に日本人のメタボロームと食道疾患との関連についてはまだまだ不明な点が多く、その関連性について大規模疫学調査を行う。詳細な調査企画を作成中であるが、CARE研究の再解析により、低用量アスピリン長期投与によってGERD発症が惹起されることが判明した。
A 淀川キリスト教病院の大規模検診(800人)による逆流性食道炎の疫学調査の結果がJ Gastroenterologyに掲載された。Lifestyle
factors associated gastroesophageal reflux disease in the Japanese population,
J Gastroenterol 48(3):340-9., 2013.
B @の疫学調査を参考に、大規模疫学調査UGID研究(上部消化管疾患の罹患状況と経過に関するコホート研究、5年間の前向き調査)を企画し、研究会を発足した。平成24年度に6施設中4施設で調査実施に関する倫理委員会の審査を得た。平成25年度は全施設で調査を本格開始する。
臨床研究支援事業
@ 平成20年8月から開始した「低用量アスピリン投与による上部消化管粘膜傷害の発生に対するプロトンポンプ阻害薬の予防効果(医師主導臨床試験:CARE研究)」に関する論文が、J
Gastroenterologyに掲載された。Rabeprazole reduces the recurrence risk of peptic
ulcers associated with kow-dose aspirin in patients with cardiovascular
or cerebrovascular disease: a prospective randomized active-controlled
trial. J Gastroenterol 2012; 47:1186-97. また、平成24年5月20日に米国消化器病学会週間で発表した。
A 消化管内視鏡治療、神戸消化器内視鏡治療研究会主催 ハンズオンセミナー: 本年度もESD技術の普及と研修を目的とし、全国規模のハンズオンセミナーが平成24年6月9日(土)に神戸医療機器開発センター「MEDDEC」で開催され後援した。本セミナーでは、18組の36名の内視鏡医師の参加を得て、ブタを使用した大腸の生体位内視鏡的粘膜剥離術を習得して頂くことを目的とし、多くの若手医師の参加で熱気あふれるセミナーであった。今後、ESD技術が更に普及し、特に早期胃癌における治療法の一つの選択肢として定着することが期待される。
研究開発事業
@ 内視鏡技術開発及び若手消化器内視鏡医の育成のために、ベンチャー企業であるGI-サポートに業務委託を行っているが、本年も内視鏡技術教育の支援と逆流性食道炎疫学調査に関する調査を継続した。
A 消化管内視鏡治療技術トレーニングの支援を行った。
情報提供事業
@ 市民公開講座の開催 平成24年度は、「胸やけや胃もたれ症状・ピロリ菌感染症について考える」をテーマとして、第2回市民公開講座を3月17日(日)に開催した。本公開講座は、当NPO法人が主催し、兵庫県、神戸市、神戸市医師会、ひょうごボランタリーの後援を得て開催している。
「胸やけや胃もたれ症状〜胃食道逆流症を中心に〜」の演題で、神戸大学医学部消化器内科・特命教授の藤田 剛先生、「ピロリ菌感染症〜現状と対策〜」の演題で、神戸大学医学部消化器内科・教授の東 健先生から、それぞれ判りやすい講演を頂いた。 今回も神戸市を中心に、160名を越える多くの市民の参加を得て、活発な質疑応答が行われた。
なお、開催時に実施したヘリコバクター・ピロリ菌の尿中抗体検査の無料実施は好評を得、126名の参加者に実施された。年齢は60歳以上が72%で高齢者が多く、その結果感染者は44.8%であった。この結果は昨年度と同じ感染率であった。また、アンケートによる胃がん及び大腸がん検診率の調査では、それぞれ77%、66%と比較的高かった。今後も消化器がんのがん検診普及と早期がんの発見に努め、消化器がんによる死亡の軽減に当法人も貢献していく必要がある。
A GI-CAREホームページのタイムリーな更新。 各種の活動情報並びに市民公開講座の詳細とアンケート結果を掲載した。
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